二級・一級建築士試験 手書き製図の初歩の初歩|基礎を守れば作図効率が上がります!

建築製図一級建築士試験

こんにちは!けんちく太郎です!(@acedesign_I)

建築士試験の2次試験では、手書きでの製図スキルが必要となります。
一方で今時はCADのみならずBIMも含めたPCでの作図が主流です。
なので、手書き製図は建築士試験対策として初めて本格的にやるという方も少なくありません。

そこで今回は、意外と大事な手書き製図の初歩の初歩についてまとめていきたいと思います。

 

必ず知っておきたい作図方法

製図用紙のセット方法

まずはじめに、製図用紙のセットには製図板に付属しているマグネットではなく、ドラフティングテープを使用することをお勧めします。その理由としては以下の通りです。
・マグネットシートでは剥がしやすい様に多くのものにボタン状の膨らみがありますが、それに平行定規が引っかかると用紙がずれてしまう。
・マグネットシートは一度折れると綺麗平には戻らないため、引っかかりやすくなる。
・マグネットは紙を保持しておくため一定の長さがあり、取り回しがしにくい。
・ドラフティングテープは4隅それぞれに2〜3センチに切ったものを貼るだけで紙がしっかり固定できるため取り回しが良く位置を調整しやすい。
・そもそも基本的に試験中は一度セットすれば製図版から用紙を剥がす必要がないためテープで問題ない。

ということでドラフティングテープでのセット方法をご説明します。

1.製図板の下端と製図用紙の下端を合わせ平行にセットできたら仮止めに中央にマグネットを貼ります(仮止めが目的なので、字消し板で代用でも構いませんし、マグネットなしの製図板であれば上端中央をテープで止めることでも問題ありません)

製図板セット

2.製図用紙の4隅に45°の角度でドラフティングテープを貼り固定します。

製図板セット

3.用紙が固定できたらあらかじめ印刷されているグリッド線を基準に平行定規の角度を微調整して完了です!(精度を高めるためにはできる限り左右の端の方を基準にしてください。)

製図板セット

この方法をマスターすると製図用紙が素早くセットできる様になります。
本試験では、試験開始後に製図用紙を貼ることとなる場合があるので、(私が受験した会場ではこのパターンでしたが、同会場の別室で受けた人はあらかじめセットできたりと試験官によって異なる場合があるようです。)セットする時間を短縮できるよう日々の練習から心がけてください!

 

 

シャープペンシルの持ち方

シャープペンシルはペン先から見て親指・人差し指・中指が三角形になる様に持ちます。(=正しい鉛筆の持ち方)

ペンの持ちかた

以下でご紹介しますが文字を書くのとは異なり線を引く際はペン先を回す必要があるため、できる限り指先でブレない程度に軽くつまむ様に持ってください。
また、ペンは紙に対して90°くらいに立てて使うと均一な線が書け、また芯が折れにくくなります!

製図 ペンの角度

 

 

線の引き方

製図試験で書く線の多くは、横線と縦線となります。(右利きの場合を示しますので左利きの方は逆で考えてください)
まず横線は左から右に引きます。逆に引いてしまうと用紙にペン先が刺さり紙を傷つけ最悪破いてしまうことになります。縦線は下から上に向かって引きます。

線の方向

 

三角定規の使い方と線を引く向き

三角定規は主に縦線を書くときに平行定規に沿わせて使用しますが、向かって左側に縦側を持ってきます。左手を右手がまたいでいくようなイメージです。

 

三角スケールの長さと使うタイミング

三角スケールは15cmと30cm、30cmにおまけでついてくる5cm前後のものがあります。また、樹脂製とアルミ製、竹芯や木芯、無垢、押し出し、細形などなどたくさん種類があります。

試験対策でお勧めしたいのは、金属音がしない樹脂製、無垢(樹脂だとほとんど無垢です)、長さは15cmと30cmの2タイプ準備してください。

使い分けについては以下をお勧めします!
1.エスキスは15cm定規を使用
2.作図開始時の通り芯を引く際には30cmを使用して各所にマーキングしていく
3.その後細かく測る必要があるところや、定規を当てて線を書く場合には15cmを使用

 

平行定規の設置と動かし方

平行定規の多くには製図用紙面に擦れて汚さない様に少し浮かす機能(フローティング機能)が付いています。(下画像は断面イメージ)
これを常に使用して図面を擦らないようにしておくのが綺麗な図面を描くコツです。

フローティング機能

(以下ではお勧めの製図板をランキング方式でご紹介しています。)

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平行定規のロック機能の使い方

平行定規のロック機能とは、平行定規が上下しない様にする機能で多くのものに装備されています。
この機能は使う人は毎回ロックして、使わない人は作図中一度も使用しないという極端な場合が大きかと思いますが、主に三角定規を使用して縦線を引く際に使用します。

具体的には、通り芯を書く時とその後壁を書くときに使用するのがお勧めです。
その理由は連続して横並びの縦線を書く作業になるため、三角定規を素早く横に動かしていく必要がありますが、平行定規がロックされていないと左右に動かす際上下にも動いてしまいます。
ここで予めロックしとくことで、平行定規に沿わせる様に左右の動きだけを気にしていれば良くなり効率がグッとあがります。

 

消しゴムの種類と使い方

消しゴムは大と小を準備してください。
大は小学生から使用する様などこでも売られているよく見るサイズのものです。これは緊急時用と言っても過言ではない大ミスをした時に、広範囲を消す際のみに使用するお守りと思ってください。笑
小はスティック型のもので部分的に消したいときに使用します。断面が小さいので細かいところを消すのに向いています。
また、字消し板を併用するとさらに細かいところを消すことができます。

 

字消し板の使い方

字消し板は狙った細かい部分を消す時に必要な部分を守るために使用します。
使い方は単純で、消したい部分を字消し板の穴に合わせてその部分を消しゴムで消すだけです。
地味に使用回数が多いかと思いますので、マグネット機能のある製図版を使用している方は、左上に貼り付けておくことをお勧めします。

字消し板

また、貼り付けて使用する場合は外しやすくするために、角を少し手前に折り曲げておくことをお勧めします!

字消し板角

 

刷毛の使い方

消しゴムを使用してカスが出たらサッと払うためのものです。
フッと息で飛ばしがちですが唾が飛んで紙を濡らしてしまうと汚れの原因となり、また乾くまで書けなくなってしまい時間のロスが大きいのでやめておきましょう。
手で払うのも試験に緊張して汗ばんでいる手で払うとせっかく綺麗に書いた線が伸びて汚くなってしまいます。

また、書き進めていくと目には見えないシャープペンシルの粉が溜まっており、それを手の接地面でこすって汚してしまいますので、息をつくときや消しゴムを使用した際にはサッと刷毛で払うくせをつけてください。

 

テンプレートの使い方

最後なりますが、テンプレートを使用するのは柱のみがお勧めです。
通り芯や便器、開き扉の軌跡などの曲線にテンプレートを使用することをお勧めしている参考書等もありますが、時間がかかるだけで効果は薄いと考えています。
柱は数が多く、また全フロア基本的に同サイズで書けるため、通り芯を引いたのち交点に一気に全部書いていきます。
右利きの場合は左下角から時計回りで書くのがお勧めです!

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
手書き製図において初歩をマスターするということは、綺麗な文字を素早く書くためにペンの持ち方や書き順が大切なことに似ています。

たかが持ち方一つでも、素早く綺麗に書くためには欠かせない要素の一つです。
製図試験は主に時間との戦いになります。
ほんの少しのミスで書ききれず不合格となることも珍しくありません。

今から勉強を始めるという方にはとても良いタイミングだと思いますので、ぜひ初歩的な技術から抜かりなく身につけて合格を掴み取って下さい!

以下では製図試験に役立つ道具をご紹介していますので、ご興味ある方は合わせてお読みください!

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